認知心理学

ジェスチャーの効果は思考が一致していないと誤った答えを導いてしまうよという実験

投稿日:2021年9月14日 更新日:


今までジェスチャーは理解力や記憶を助ける効果があるということを書いてきました。

 

ですが、その効果にはどうも落とし穴があるみたいなのです。

 

人は手で考えるが、ジェスチャーは万能ではありません。

 

ジェスチャーをしたからといって、うまくいくとは限らないのです。

 

ジェスチャーをするように言っても、必ずしも成績が上がるわけではありません。

 

ジェスチャーは思考の本質の一部で、考えを象徴すもの。

 

そして、その思考は正しくなくてはなりません。

 

考えに誤りがあると、ジェスチャーも間違え、正しい答えに到達できません。

 

 

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ジェスチャーをしても間違えるのはなぜ!?

スタンフォード大学のバーバラ・トベルスキーが学生に出したの課題があります。(1)

 

次の問題を一緒に考えてみましょう。

 

船が港に係留されています。その脇に十段の縄ばしごがが架けられています。はしごの段の間隔は12インチ。一番下の段は水に落ちています。満ち潮に向かっているため、水面が1時間4インチずつ上がっています。はしごの上から三段目まで水が達するのは何時間後でしょうか。

 

この問題は、誰もが中学で苦しんだ、時間と距離の問題に見えますよね。

 

ですが、実はそうではないのです。

 

これはひっかけ問題であり、聡明な大学生でもだいたひっかかります。

 

ほとんどの学生がこの問題を解こうとする時手を動かした。

 

大方は片手ではしごの段を示し、もう一方の手で計算をしていた。

 

ジェスチャーをした人の方が、誤った答えを正確に計算していた。

 

どういうことかと言えば、水がはしごの上から三段目まで達するまでの時間は、船が海底についているなら計算できる。

 

しかしこの船は浮いている。

 

はしごに対する水位は、潮が満ちても変わりません。

 

したがって、「はしごの上から三段目まで水が達するのは何時間後でしょうか」という問題に対しての答えは「その水位は達することはない」。

 

船が浮いていることにジェスチャーは必要ありません。

 

それは記憶から引き出さなくてはならない事実なのです。

 

この場合、ジェスチャーが誤った考えに基づいていたため、ジェスチャーをした学生は間違った答えを導き出してしまったのです。

 

ジェスチャーが効果を挙げるには、それが正しく思考を表現するものでなくてはなりません。

 

思考と一致したジェスチャーが思考を増大させるなら、理解、学習、思考、問題解決に役立つジェスチャーを考えることも可能なはずです。

 

そのようなジェスチャーの一つが、物理を教える時に必ず使われているようです。

 

学生たちはベクトルの問題を解くとき、親指と人差し指と中指を適切な角度で伸ばして、それを回転させて考えるように教えられます。

 

また学校では、子供たちは方程式の両側は等しいことを理解させるためのジェスチャーを教わります。

 

人差し指と中指でVをつくり、それぞれの指が式の片側をさすようにします。

 

そのジェスチャーを教わった生徒たちは、等式の根本的な原則について、教わらなかった子供たちより理解が深まったことが示された。

 

タッチパッドは学生たちから、適切な思考と一致するジェスチャーを引き出す機会を与えてくれるようです。

 

例えば足し算は離散的な作業で、数字を一つずつ数えます。

 

対照的に、数直線を使った推定は連続的な作業です。

 

数直線の推定問題では、1から100まで目盛りが振ってある横線を見せます。

 

 

そして27と66とか、数字を一つ告げ、数直線上でその数字に当たると思われるところに印をつけてもらった。

 

子どもは足し算では連続しない一対一のジェスチャーをした時、数直線の推定問題では、連続的なジェスチャーをした時の方が成績が良かった。

 

 

ちょっと一言

ということで、ジェスチャーの効果を得るためには、根底に正しい知識や記憶がなければいけないということでした。

 

仮に、ジェスチャーをして答えがうまく導き出せなかったとしたら、それは根本的に考え方が間違っていると考えた方が良いと思います。

 

ちなみに、ユーチューブもやっています。
良かったらチェックしてみてください。
https://www.youtube.com/channel/UC56yqcM1OG39QIp8-pvHRCQ

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