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パソプシン受容体を持つと浮気しにくくなるかもという動物実験!

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他の動物における夫婦の絆の出現に関する、進化期を通じてのイェール大学のニコラス・クリスタキスたちの調査から、自然選択が人間の配偶行動(と集団生活)に何らかの関与をしてきたことが明らかになっています。

 

ですが、この事実について、実際の解剖学的、生理学的、遺伝学的基盤を解明するとなると、話は別です。

 

この問題を深く研究するために、神経学者のラリー・ヤングをはじめとする研究者たちは、ハタネズミという小動物に注目してきました。

 

プレーリーハタネズミは生来(少なくとも大半は)一夫一妻制ですが、近縁種のアメリカハタネズミとヤマハタネズミは乱婚です。

 

プレーリーハタネズミでは、ホルモンのオキシトシンとバソプシンをはじめとする多くの神経伝達物質が夫婦の絆を調整することがわかっています。

 

普通、動物や種により違いは、ホルモンのレベルや構造の変化により、ホルモンや神経伝達物質の受容体の変化を反映します。

 

違いの中には、受容体とホルモンが結合する強さ、そのような受容体の数、そうした結合に関係する情報を受容体が伝達する方法、細胞、神経構造レベルでの受容体の位置などが含まれます。

 

一夫一妻制のプレーリーハタネズミは脳の前部(全脳)の下にあるバソプシン受容体の数が、乱婚のアメリカハタネズミよりも多い。

 

バソプシン受容体の同様のパターンはマウスやマーモセットの一夫一妻制の種を、近縁の乱婚種と比べた場合にも見られます。(1)

 

そのうえ、同じ種内でさえ、ハタネズミの中にも受容体の数が多い個体や、受容体が良い位置にある個体があり、こうした要因が夫婦の絆を育むこともあります。(2)

 

哺乳類では、オキシトシンとバソプシンがかなり多くの機能を担っています。

 

オキシトシンは出産時の子宮の収縮を引き起こし、出産直後の母乳の分泌を促すことが知られていますし、母親とその子の間で一種の愛着の相互的フィードバック・ループを調整するのにも一役買っています。

 

オキシトシンの放出が多いほど、母親は自分の子およびパートナーとの情緒的結びを強く感じます。

 

オキシトシンのレベルは他者の振る舞いによっても上下します(この現象は種を越えて起こることさえあり、例えば犬うと飼い主がお互い見つめ合うと、オキシトシンレベルが上がります)。(3)

 

バソプシンは、代表的な男性の機能のうち、勃起、射精、攻撃性、縄張り意識、においによるマーキングなどにかかわります。(4)

 

ただし、いずれのホルモンも、両性においてそれぞれの役割を果たしています。

 

ハタネズミの夫婦の絆が形成される際、パートナーの識別(においなどによる)および報酬(セックスに関するなど)に関わる神経回路が、オキシトシンとバソプシンの経路と同時に活性化するようです。

 

それによって二つの刺激が結び付き、パートナーを選り好みするようになります。

 

これが、ハタネズミが配偶者を識別する方法と理由です。

 

一夫一妻制ではない種では前脳のバソプシンの経路と受容体がないという事実は、性的報酬とパートナーの体臭の選択的結びつきがつくられないことを意味するため、損もような動物は夫婦の絆を形成できません。

 

誤解のないように付け加えれば、ドーパミンやオピオイド(報酬システクに含まれる)といったほかの多くのホルモンや神経伝達物質、またほかの神経回路(記憶に関する経路など)も役割を演じています。

 

実際、人間に関する研究の中には、ホルモンの組み合わせが変われば、人間関係のあり方も変わる場合があると示唆するものもあります。(5)(6)

 

例えば、簡略化した分類では、冒険型(主にドーパミン系によって動く)、建設型(セロトニン)指導型、(テストステロン)、交渉型(エストロゲン)があります。

 

このホルモンは生理学的に不変だと思われがちです。

 

しかし、ラリー・ヤングたちのチームがきわめて大規模な実験で明らかにしたのは、乱婚種のハタネズミでも、たった一つの遺伝子(バソプシン受容体の遺伝暗号を指定するAvprla)の発現を操作すれば、基本的に一夫一妻制にできるということです。(7)

 

この遺伝子が、一夫一妻制のプレーリーハタネズミから乱婚のアメリカハタネズミに導入した。

 

目的は、アメリカハタネズミの前脳にバソプシン受容体の発現を増やすこと。

 

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バソプシン受容体の発現を増やすと!?

遺伝子の改変により新たな夫婦の絆を育む脳の回路を持つようになったオスのアメリカハタネズミの各個体について、愛着についての標準的テストである「パートナー嗜好テスト(PPT)」を受けさせ、それぞれのパートナーと、「同等の刺激を与えるメス」のどちらを好むかを調べた。

 

ハタネズミが二匹のメスのそれぞれと身を寄せ合った時間が測定された。

 

その結果、遺伝子改変されたハタネズミは断然、もとのパートナーを好んだ。

 

それに対して、乱婚種であるハタネズミの対照群は違っていた。

 

この研究からわかるのは、一個あるいは数個の遺伝子が種の夫婦絆を結ぶ行動をコントロールできるということです。

 

実験によって特定の遺伝子の発現の仕方を変えると、進化による変化と同じように、社会的行動を根底から改め、ハタネズミを一夫一妻制にできるのです。(8)

 

実際にはこれより複雑です。

 

別のグループのその後の研究により、やはり同様のパソプシン受容体を持つ一夫一妻制ではないハタネズミの種が他に複数あることがわかりました。

 

受容体の発現を司るDNAの正確なシークエンスが重要みたいです。

 

この分野はまだ研究途上です。

 

しかし、遺伝子と遺伝子群は単独で働くわけではありません。

 

この実験の遺伝子改変が効果を発揮したのは、他の多くの遺伝子と強調し、同時に他の既存の多くの神経回路、生物学的・社会生態学的要因が作用した結果です。

 

ある遺伝子の多様体が他の遺伝子の多様体の働きに及ぼし得る影響は「エピスタシス」と名付けられています。

 

仮にあなたが若白髪の遺伝子を受け継いでいるとしても、もっと若くて完全に禿げる遺伝子を受け継げば、若白髪の遺伝子の発現しないかもしれません。

 

ハタネズミの場合には、バソプシン受容体遺伝子の変化がこの結果を引き出すのに不可欠だった一方で、この結果を引き起こせた唯一の原因ではありませんでしたし、充分な理由でさえなかったようです。

 

Avprla遺伝子は不可欠にあるにせよ、単独で働くわけではありません。

 

それは自動車のエンジンキーを回すことが発進に必要なすべてだと考えるようなものですが、実際に車が動くのは、キーの働きが他のあらゆる機能や構造と強調した結果です。

 

一夫一妻制は、親、特に父親による保育の充実にも結びつきます。

 

一夫一妻制の遺伝的土台

進化生物学者ホピ・フークストラは、ごく近縁のマウス二種(シカシロアシマウスとハイイロシロアシマウスで、前者は乱婚、後者は一夫一妻制)の親としての行動と、その行動と一夫一妻制の関係について、遺伝的土台をを探った。(9)

 

それら二種のマウスを種類交配させ、遺伝的シークエンス(塩基配列解析)を利用して、親による子育てにかかわわる12のゲノム領域を突き止めることができた。

 

その結果、バソプシン遺伝子が重要だった。

 

その中には、オスのみで作用するものもあれば、メスのみ、あるいは両性共に作用するものもあった。

 

それらの結果からわかるのは、たとえ両性に同じような(身を寄せ合う、巣を作るといった)行動が見られるとしても、親の子育てはオスとメスで別々に、異なる遺伝的経路を経てしたということです。

 

ちょっと一言

つまり、それらの種では親の行動には遺伝的基盤があること、その基盤はオスとメスで異なること、遺伝子と行動の付随的変化は乱婚種よりも一夫一妻種の父親により多く見られることがこの実験で示されました。

 

ただ、ハタネズミの実験でわかったからと言って、人間に全く同じ(神経解剖学的、生理学的、遺伝学的)プロセスが必ず生じるとは限りません。

 

とはいえ、双方のプロセスが似ていることは確かです。

 

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ちなみに、ユーチューブもやっています。
良かったらチェックしてみてください。
https://www.youtube.com/channel/UC56yqcM1OG39QIp8-pvHRCQ

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執筆者:



【Yoske】

大学を出て多くの就職面接に失敗。そして、日本の企業には就職しないことを選択。好きなことの中の1つは読書。その知識をシェアしたいと思い、ブログを始めました。

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