今回は、貧困地域から抜け出してそこより良い地域に引っ越したらどうなるのかという実験を紹介します。
そして、その実験はアメリカ政府を行ったものです。
日本では考えられませんが、銃声が鳴り響いている地域などアメリカには結構まだあるみたいです。
そういう場所に住んでいる人が良い地域に引っ越すとどうなるのでしょうかね。
より良い地域に引っ越すと!?
アメリカ政府は、「ムーヴィング・トゥ・オポチュニティ(移住への機会)」通称MTОプログラムと呼ばれるRCTを立ち上げた。(1)
ボルティモア、ボストン、シカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスの5都市で、プログラムに登録した超貧困地域の住民数千人に抽選で、良い地域に引っ越しをする権利を与えた。
まず、対象者を無作為に3つのグループに割り当てた。
第一グループには、家賃補助券を与えて、当初の住環境よりも貧困度がやや改善された地域への引っ越しを求めた。
第二グループにも、家賃補助金を与えたが、使用する地域に制約をつけなかった。
第三グループには、家賃補助券を与えなかった。
このグループになった被験者の大半はそのまま公営住宅に住み続けた。
その結果、当初は引っ越しをしたことで大人が職に就きやすくなった様子はなく、子供の成績が大きく改善されたりする様子もなかった。
さらに追跡をすると、引っ越した家庭の女の子はトラブルに陥ることが少なかったものの、男の子は危険な行為に走りやすいことがわかった。
ただし、引っ越しが有利に働いた点が1つだけあった。
貧困度が低い地域引っ越した人たちは、肥満になることが少なく、またメンタルヘルスも比較的いい状態にあった。
かつて住んでいたコミュニティの危険度レベルと比較すれば、健康被害が減るのはもっともだった。
ボルティモア在住の少年は、研究チームの質問に、「ここには住みたくないよ。だって、何でもないことで人が殺されるんだもん」と答えた。(2)
また、対照群となったシカゴ在住の女性も、銃弾は誰彼構わず飛んでくるから幼い子供たちをほとんど屋内で過ごさせていた、と語った。
国にとってコストより利益になる!?
その後、2015年に、ハーバード大学などの研究チームがこの実験の結果と納税データの照合を行った。(3)
機会への移動(MTO)実験では、ランダムに選択された家族住宅バウチャーを提供して、高貧困住宅プロジェクトから低貧困地域に移動した。
税データを使用して、MTOが子供の長期的な結果に与える影響を分析した。
13歳より前に貧困度の低い地域に引っ越した子供が大人になってからどれくらい稼いでいるかを調べた。
その結果、引っ越した家庭の子どもは、極貧地域に住み続けた子供に比べて、大人になってからの所得が3割も増えた。
これは男女でほぼ同じだった。
若い(13歳未満)ときに貧困の少ない地域に移動すると、大学への出席と収入が増加し、ひとり親の割合が減少することがわかった。
ただ、青年期になると、おそらく混乱の影響のために、わずかに悪影響があった。
この傾向が生涯維持されると仮定すると、10代初期で貧困度が少ない地域に引っ越すと、そうでない場合と比べて生涯年収が30万ドル増えることになった。
これはコストをはるかに上回る利益。
プログラムに参加して所得が多くなったことで、支払う税金の額が増え、その増分は提供した家賃補助券の金額を上回っていた。
つまり、政府にとっても得になった。
ちょっと一言
全体として、心理的な健康は向上した可能性が高いと言えますね。
まぁ、危険な地域に住んでいった人が引っ越せば、そうなるのは当然だと思います。
それに、子供の頃に引っ越せば、ちゃんと働いて税金も納められるので、国にとっても良いことではないでしょうか。
また、これが日本にそっくり当てはまるかどうかはわかりませんが、日本政府もこういうことをやればいいのになと思います。
僕が知らないだけかもしれませんが、もしかしたらやっているのかな~。
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